※The English profile is below the Japanese text.
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久保田 啓敬 Hiloyuki Kubota
 1981年生まれ、大阪府出身。


 2000年、VJ SARA CHOP OMRICEとしてグラフィックデザインと3DCGを使った映像で活動を開始し、UNDER LOUNGE、Joule、Grand Cafeといった大阪のアメリカ村のクラブで映像を流し始める。UNDER LOUNGEでは、Warp da DiscoやReflexといったレギュラーパーティーを受け持つ。


 2003年には大阪にあったIMAGICA Westというポスプロへ入社。Inferno(インフェルノ)という映像合成・VFXシステムを学ぶ予定だったが、残業の多さがVJ活動に支障をきたし1年で退社。

 その後、別のCG制作会社に入社するが、ここでも残業が多く、会社で働くことが性に合ってないことに気づき、1年半後に退社する。


 2004年からは音と映像を同期させたAudio Visualという概念を知ったことをきっかけに、ダンスミュージックの制作も開始する。


 2004年にはイギリス拠点のVJレーベルLIGHTRHYTHM VISUALSよりリリースされたDVD “hidden partition”へ映像を提供する。


 2005年にはサイケデリックトランスのレーベルVISION QUESTよりリリースされたDVD”THE GATHERING 2005”へ映像を提供する。


 2006年からはデザインと映像制作のフリーランスとして活動を始める。ただ企業から仕事を依頼され映像制作を行う中で、自分が求めていたものと違うと感じる。これを60歳まで続けているイメージが浮かばなかったことや、VJ活動も完全燃焼し次の目標もなくなっていたことから映像への情熱が冷め始め、音楽が制作の中心に移行する。


 2006年末のUNDER LOUNGEのカウントダウンパーティーをもって、VJ活動を終了する。


 フリーランスで貯めた資金を元手に、2007年に楽曲制作とリリース先のレーベルを探すため、イギリスのロンドンへ移住する。ただダンスミュージックを作っているにもかかわらずクラブへの興味が薄れ、ロンドンではこの年4回しかクラブに行かず、営業活動もほとんどせず、ただ制作に明け暮れる。

 また18歳のVJ開始時から感じていた右肩上がりの上昇感がこの年の夏頃に止み、閉塞感を感じ始め、それが年末まで続く。12月に入ると1日ごとに崖を転げ落ちるように気分が落ちていく。2007年の終わりに日本に帰国した際、理由のない絶望感におそわれ、景色が全て灰色に見える。

 そしてこれまで培ってきた価値観や常識、生きる意味が崩れ、喪失感と虚無感、孤独感、そして2度と回復しないかもしれないという長い苦しみが始まる。

 この状態について見聞きしたことがなく、表現する言葉も見つからなかったが、18年後にダークナイト・オブ・ザ・ソウル(魂の暗夜)という現象であることを知る。これはそれまで築き上げられてきた自我の大部分が半ば強制的に崩れ去り、本来的な意識の在り方が顕れてくる出来事。


 2008年に映像とウェブの事業を立ち上げるも、映像への情熱はすでに冷めており、制作や売上を上げていくことに気力がなく、普通の社会生活を送っていくことがさらに困難になる。そのためお金を稼がずに生きていく方法はないかと考え始め、あらゆる生活物資を自給自足するアイデアをA4の紙2枚にまとめる。

 それがまとまった時、この他者への依存度が低い社会の仕組みは、全ての人の特に心の健康にとって良いと直感的に感じる。そこからどうやって街にし、国として広げ、世界連邦として運営していくのかまで考えを広げていく。

 この作業の1年目は自分が興味があると思ってまとめていたが、2年目に入りその作業にも飽き、やめてみようとするも次から次にまとめる項目や知的好奇心が湧いてくる。その過程で自分の欲でまとめているというよりも、自分を通して書かされているという感覚が強くなる。

 この作業の2年目には事業を閉鎖し、完全無職のままさらに1年間かけてまとめる。そしてプラウトヴィレッジという新たな社会構想としていったん完成する。これは資本主義や社会主義に代わる考え方で、気候変動や戦争、貧困や政治腐敗など、世界のあらゆる社会問題の根本原因の一つは貨幣をベースとした仕組みに問題があるという結論に達し、貨幣が存在しない社会の構築方法をまとめたもの。


 また無職のままでは生活ができないのでアルバイトをはじめ、生活レベルを最低限に設定する。その分余暇を増やし創作活動に時間を割く。

 楽曲制作も継続し、年間60〜100曲のペースで制作を続ける。また音楽用のビジュアルイメージとして抽象画も描き始め、その表現も自然と発展していったためインスタグラムで公開する。

 この時期から文書、音楽、抽象画のどれもが自分が作っているというよりも、手が自然に動いて作品がまとめられていくという感覚を強く認識する。


 2013年からはアメリカ、スペイン、オーストリア、トルコなどの小規模レーベルからダンスミュージック、チルアウトなどの音楽をリリースし始める。


 2014年にリリースしたアルバム”Vega”は、2020年にベルギーのiTunes「Easy Listening」部門で1位を獲得する。


 ダークナイト・オブ・ザ・ソウル13年目の2020年頃には無心という状態を知り、それに意識的に取り組み始めたことで、苦しみが徐々に軽減されていくことになる。


 2020年にはプラウトヴィレッジを出版する。その後も改訂とバージョンアップを繰り返し、ネット上で無償公開する。


 2025年までにはプラウトヴィレッジの他にも4つの文書がまとまり、ネットで公開する。

「信仰の起源」では古代から続く各大陸の信仰や宗教には大陸を超えたシンボルの共通点があり、それらは一つの起源にまで遡ることができるということを、物的証拠と共にまとめている。その中で、黄金比の渦模様や2匹の蛇などが共通シンボルとして見られることなどを見出す。


 また自我の強い人々の行動パターンには類似性があることに気づき、それを「自我から意識へ」という文書にまとめる。人間の自我についての理解は、平和な社会の構築をする上で必須の要素となっている。


「文明の繁栄と衰退のパターン」では、人間が古代から築き上げてきた数々の文明にも自然界に見られるのと同じ繁栄と衰退のパターンがあることをまとめている。そして資本主義社会がその末期であることや、持続可能な社会に必要な要素を説明している。


「この世の構造と法則」では、自我がどこにあるのかや、宇宙をも超えたこの世界の構造を思考実験と共に説明を試みまとめている。


 音楽、文書、抽象画ともにアップデートと変化を続けながら現在に至る。