日本でも2匹の蛇は見られる。沖縄の北谷(ちゃたん)の海底に沈んでいるピラミッド複合施設には、長さ20mの2体の蛇の石像がある。
さらに日本の神社に見られるしめ縄も2匹の蛇が絡み合った姿で、蛇の交尾の姿。しめ縄は雷雲の象徴で、その間から垂れ下がるワラは雨、白いジグザグの紙垂(しで)は雷を表す。虹蛇も雨を降らせる力があると伝えられている。
栃木県の日光山には神橋(しんきょう)という橋がある。伝承では深沙王(じんじゃおう)が赤と青の2匹の蛇を放ち、その蛇は大谷川の両岸にからみあって虹のように美しい橋となったとされている。この橋が神橋(しんきょう)で、山菅(やますげ)の蛇橋(じゃばし)とも呼ばれている。このように2匹の蛇が伝承に見られることもあり、ここでは虹もシンボルとして登場した。
メキシコのマヤ文明の古代都市チチェン・ イッツァのククルカンの神殿の階段下部の左右にも、2匹の蛇が見られる。ここでは、昼夜の長さが同じになる春分と秋分の時期だけに太陽が西に傾くと、ピラミッドの影によって階段の側壁に明るい部分ができ、それが蛇の胴体となって階段下部のククルカンの頭像と合体し、巨大な蛇が姿を現す。ククルカンはマヤ神話の創造神で、3回にわたる人類の創造に関わったとされる。
そしてククルカンは、メキシコのアステカ文明の蛇神ケツァルコアトルと同一神。ケツァルが鳥の名前、コアトルが蛇で、空飛ぶ蛇。
南米のインカ帝国の国旗には、2匹の蛇と虹のシンボルが見られる。
北アメリカの先住民ホピ族にも2匹の蛇が見られる。ホピ族の中の熊族の主神サカムホナウは、古代に熊族へ3つの石板を渡した。その中の第2の石板の表面には中央にトウモロコシの木、その周囲に2匹の蛇に囲まれて何頭かの動物たちが描かれている。この2匹の蛇は、土地の境界線である2本の河のコロラド川とリオ・グランデ川を象徴する。
このように2匹の蛇は、アフリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、南北アメリカの各大陸で見られ、世界共通のシンボルであることが見えてくる。
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